【 フ ラ ン チ ャ イ ズ 発 展 史 】第 1 回

「フランチャイズ・ビジネス」の本質を理解するには、「フランチャイズ・ビジネス」の歴史を学ぶ必要があります。「株式会社日本フランチャイズ総合研究所」では、長年この視点からも研究を続けておりますが、この機会にその一端をご披露させていただきます。

Ⅰ フランチャイズ・ビジネスの誕生

[1]アメリカのフランチャイズ・ビジネス

(1)フランチャイズ・ビジネスの発祥

わが国で「フランチャイズ・ビジネス」の展開が始まったのは1960年代前半ですが、「フランチャイズ・ビジネス」においては、その発祥の国であるアメリカの影響が多大ですので、まずアメリカを中心とした欧米諸国における歴史についてご説明しましょう。「フランチャイズ・ビジネス」のアメリカにおける発祥については、ハリー・カーシュ「フランチャイズ・ビジネス 1970年代の経営戦略」(ハリー・カーシュ著、川崎進一監修、現代経営研究会訳:商業界発刊)に、次のように記されています。

<以下、同書より>

アメリカにおいて、近代的な小規模のフランチャイズが現れたのは、恐らく今から100年以上前のことであろう。当時、ある店が幌馬車に乗った行商人に対して、一定地域内でのその店の商品の独占権を与え、且つ、同一地域内での同一商品の購入・販売は他の行商人には禁止することにした。<引用終わり>

これは、バンク・オブ・アメリカの「スモール・ビジネス・リポーター」誌12号に掲載されたものですが、同誌の発行が1965年とありますので、恐らくその100年以上も前である1800年代の前半には幌馬車の行商人が後に「フランチャイズ・ビジネス」として発展するビジネスモデルを生み出していたと推定されます。

 

(2)フランチャイズ・ビジネスの原型

記録で確認できる事実として「フランチャイズ・ビジネス」を最初に展開したのは、南北戦争(1860~1865年)さなかの1863年に「シンガー・ソーイング・ミシン(Singer Sawing Machine)」が、このシステムを採用したときと言われています。つまり、「シンガー」は、特定地域におけるミシンの販売員に対する報酬制度のネットワークをつくりあげたのです。この制度は必ずしも成功したとはいえなかったようですが、ここで作られたシステムが「フランチャイズ・ビジネス」の原型になったと言われています。
わが国の「フランチャイズ・ビジネス」の第1号は1963年、洋菓子の「不二家」のチェーン化開始と言われていますので、アメリカの第1号が1863年の「シンガーミシン」だとしますと、実に我が国より100年先行していたことになります。大東亜戦争終結後、日本にもアメリカから「フランチャイズ」という言葉が入ってきてはいましたが、一般的にはこの1963年まで「フランチャイズ」という仕組みは世間には普及していませんでした。

 to be continued