「日本版SOX法」とは、相次ぐ会計不祥事やコンプライアンスの欠如などを防止するために、米国のサーベンス・オクスリー法(SOX法)に倣って整備された日本の法規制のことです。
この法律は株式上場企業およびその連結子会社に対して、会計監査制度の充実と企業の内部統制強化を求めています。

「日本版SOX法」という呼び名は俗称で、実際には証券取引法の抜本改正である「金融商品取引法」の一部規定がこれに該当いたします。
同法では「有価証券報告書を提出しなければならない会社のうち、金融商品取引所に上場している有価証券の発行者である会社その他の政令で定めるものは、事業年度ごとに、当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要な体制について評価した報告書(内部統制報告書)を有価証券報告書と併せて内閣総理大臣に提出しなければならないこととなっております。
また、内部統制報告書には、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならないこととする」とも定められています。

 2003年4月の内閣府令第28号では、有価証券報告書の提出に際して「代表者による適正性の確認書」を添付することを求めるようになりましたが、これは米国SOX法の「経営者による宣誓書」を見習った制度だといえます。
また、2004年4月の公認会計士・監査審査会発足は、米国SOX法で定められたPCAOB設置に似た措置でもあります。
金融庁、企業会計審議会内部統制部会が2005年12月に示した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」は、監査法人が企業の内部統制システムをチェックする際の基準に関する方針を示したものであり、これが想定する制度では「経営者が実施した内部統制の評価」について公認会計士が法定監査(財務諸表監査)の一環として監査を実施することになっています。
この前提となっている内部統制の枠組みは米国の「COSOフレームワーク」をベースにしたものですが、もともとCOSOフレームワークにある5つの構成要素「統制環境」、「リスク評価」、「統制活動」、「情報と伝達」、「モニタリング」のほかに「ITの利用」(IT統制)が加えられています。

 金融商品取引法(日本版SOX法)は2006年3月に国会へ提出され、6月に成立されました。
同法は緊急性の高い条項からの順次、段階的に施行され、2007年9月30日に完全施行となりました。
内部統制報告書の提出・監査に関しましては、「平成20年4月1日以後に開始する事業年度から適用する」と定められており、2009年(平成21年)3月期の本決算から上場企業およびその連結子会社を対象に適用されることになります。