本コラムは、「フランチャイズ・ビジネス」の本質を深く理解し、応用していくために、弊研究所が研究してきたフランチャイズの歴史をお伝えするものです。今回は、1940年代のアメリカについてお伝えします。単品ファストフードの発展など、業態の「専門化」が進み始めた時代です。

5.1940年代のアメリカ

(1)第2次世界大戦がもたらしたもの

1940年代のアメリカの背景からお伝えしていきます。大きな出来事として、1941年12月7日に第2次世界大戦に参戦しました。1945年5月7日にヨーロッパ戦線が終結し、同年8月14日に第2次世界大戦は終結しました。第2次世界大戦の戦火で荒らされた国が多かったなかで、アメリカはその国土を侵されませんでした。それどころか、むしろ戦争経済によって潤ったという形です。

 

1932年から大統領をつとめたルーズベルトの、「3つのR」すなわち「救済(Relief)」「復興(Reconstruction)」「改革(Reform)」を目的としたニューディール政策でもなし得なかった不況克服も、第2次世界大戦で一挙に解決しました。軍事産業は活発化し、完全雇用が促進され、各産業においては標準化や品質管理のシステムが発達しました。

 

一方で、流通業サービス業においては、第2次世界大戦は大きなマイナスとなりました。アメリカの小売業やフードサービス業における新しい業態の開発が完全にストップしてしまったからです。

 

(2)1940年代におけるフードサービス

本格的な展開をみせるのは第2次世界大戦後となります。1936年にコーヒーショップで初めてチェーン展開をみせたのが、「ビッグボーイ(Big Boy)」です。カフェテリアチェーンの「ホーン&ハダート(Horn&Hardart)」、1942年に創業した「スカイ・シェフ(Sky Chef)」での展開もありました。

 

(3)スカイ・シェフのコンセプト

かつて、鉄道の発達とともに、「フレッド・ハーベイ」が発展し、自動車の発達とともに「ハワード・ジョンソン」がチェーン化を図りました。同じように、「スカイ・シェフ」は、航空機が発達し、大衆の交通手段になるに従い、機内食と空港ターミナルのレストランが繁栄していくと考えたのでした。

 

(4)団体給食の開拓

1939年の「デイリー・クイーン(Dairy Queen)」のアイスクリームや、1941年の「ダンキン・ドーナツ(Dunkin Donut)」のドーナツなど、単品ファーストフードがチェーン化を開始しました。

しかし、この時代の花形は何といっても「マリオット(Marriott)」や「ハワード・ジョンソン」による、第2次世界大戦に拡大した軍需産業工場や軍隊向けの団体給食でした。これを契機に戦後は病院、学校や一般の工場の団体給食化も進みました。現在アメリカでは、非商業部門のフードサービスの売上が全体の約30%を占めていますが、これは第2次世界大戦の結果の大きな産物であるといえます。

To be continued