本コラムは、「フランチャイズ・ビジネス」の本質を深く理解し、応用していくために弊研究所が研究してきたフランチャイズの歴史をお伝えするものです。今回の第4回は「商標商標提供型」「経営方式提供型」につづき、一番新しいタイプの「コンバージョン型」についてとなります。また、ヨーロッパのフランチャイズ史も少しご紹介します。

※第4回は過去掲載記事の再編集版となります。

 

4.フランチャイズ・ビジネスのタイプ③

「コンバージョン・フランチャイジング」

 

① コンバージョン・フランチャイジングの目的

1970年代の後半から、新しく「コンバージョン・フランチャイジング(conversion franchising:組織転換提供型)」が登場しました。この「フランチャイズ・システム」は、独立した個人事業や小規模「フランチャイズ・チェーン」が成長に不安がある場合に、大規模「フランチャイズ・チェーン」に加盟することによって、チェーンのスケール・メリットを享受しようというものです。

 

②小規模転換の事例

小規模「フランチャイズ・チェーン」の転換の例としては、ファーストフードの「サンディーズ」が「ハーディズ」に転換した事例が挙げられます。また、独立した個人事業としては、ホテルやモーテル業界にもかなり見受けられます。ホテルやモーテルは、「フランチャイズ・チェーン」に加盟することによって、お客様獲得のネットワークに参加し、利用できるという優位性に特徴があります。

 

③小規模から全国的に

1970年代から1980年代の初めにかけて、「レッド・カーペット・レアルティ」は、個人事業の不動産業者を「統一したチェーン名」で、「フランチャイズ・システム」に組織転換を提供し、フランチャイズ化を図りました。

 

特に、零細業者は大規模企業に圧迫されていましたが、情報のネットワーク化、全国的な規模の広告、卓越した教育カリキュラムによって、業績を高める効果を果たしました。

 

④コンバージョン型の分野

「センチュリー21」(不動産業者)などもやはり「コンバージョン・フランチャイジング」で成功しました。さらには、弁護士事務所、医者、税務・会計事務所、人材派遣会社、健康機器会社、家屋・室内メインテナンスなどサービス関係にも幅広く導入されています。

 

5.ヨーロッパの歴史

ヨーロッパにおける「フランチャイズ・ビジネス」の発祥については、明らかになっておりません。第一回でご紹介した通り、アメリカの幌馬車の行商人がフランチャイズ・ビジネスの原型でした。

商人がキャラバンをつらねて、エジプトやイスラエルの聖地を訪れていた時代の公益組合が、各地にバザールを設けたといわれています。これがヨーロッパに紹介されました。ヨーロッパでは、「ギルド」という形で、商工業者が事業権を領主たちから利権として認めてもらう一方、見返りとして上納金を納めるという仕組みになりました。この制度が「フランチャイズ・ビジネス」の原型になりました。

 

ヨーロッパでの近代的なフランチャイズ・ビジネスは、「マクドナルド」や「ケンタッキー・フライド・チキン」が英国に進出したのを契機として展開されました。

 

to be continued